先日、ドキュメンタリー映画『ジャイビーム!インドとぼくとお坊さん』
の竹本泰広監督が品龍寺に遊びに来てくださいました。
その映画は、1億人以上ともいわれるインド仏教徒を導く日本人僧侶の
豪快でお茶目な素顔に迫る密着ドキュメンタリーです。
インド仏教の頂点に立つ男
現在、インドで1億人以上とも言われる仏教徒の
最高指導者が “日本人僧侶” であるという事実をご存知でしょうか?
紀元前5世紀に、カースト制という身分制度から苦しむ民衆を解き放ったお釈迦さまの仏教は
「非暴力主義」だったため、13世紀に他宗教からの激しい弾圧により、インドから姿を消してしまいました。
仏教発祥の地のはずであるインドも今はヒンズー教徒が80%を占め、仏教徒は1%と言われています。
しかし、ヒンズー教のカースト最下層の
“人間ではない”
“触れることも見ることも汚らわしい” と
人間としての生活も教育も絶たれ、自分たちの境遇に疑問を覚えることすらできなくなった
「不可触民」と呼ばれる人たちの多くは不満を抱え、政府に無届けで仏教を信仰しています。
そのため実際には、インド国内の仏教徒は1億5千万人以上いるとも言われます。
そのインド仏教の頂点に立つ男が佐々井秀嶺(ささいしゅうれい)氏です。
32歳でインドへ渡り、1億5千万人の仏教最高指導者になった僧侶、
インドでの仏教再興に命をかける佐々井氏は2003年、日本人であるにも関わらず、
インド政府の中で要人の扱いを受け、1億人以上の仏教徒の代表として任命されました。
佐々井氏は仏教再興とともに、お釈迦さまが悟りを開いた場所『ブッダガヤ大菩提寺』を
仏教徒の手に取り戻す活動もされています。
13世紀に仏教が衰退したインドでは、ヒンズー教徒が中心となりブッダガヤ大菩提寺を管理しており、
仏教徒が管理できるように、1992年から『ブッダガヤ大菩提寺奪還闘争』と銘打ち活動を続けられています。
この佐々井秀嶺(ささいしゅうれい)氏、以前、東京の築地本願寺にお参りされたときに、
当時築地本願寺に在職していた私も直接お会いしました。
普通のおじいちゃんのようでとてもエネルギッシュ、強い意志や情熱を感じました。
「ジャイビーム」って??
監督に教えてもらったところ、このジャイビームという
必殺技のようなこの言葉、実はインドの仏教徒たちの挨拶の言葉だそうです。
佐々井秀嶺氏も拠点にされているインドの都市ナグプールでは、朝からインド人がこんな言葉で挨拶を交わしているそうです。
3000年以上の間続くカースト制度、カースト差別の禁止を主張し、
インド憲法に記した一人にインド人「ビームラーオ・アンベードカル」。
この名前、日本では教科書で見かけたことも、聞いたこともありませんが、
ガンジーのライバルとして、カースト制度に立ち向かったインドでは有名な偉人だそうです。
そして、今から60年以上前、「不可触民」と呼ばれる人たちが、人間としての尊厳を取り戻すために、
ヒンズー教から仏教に改宗する運動が、「ビームラーオ・アンベードカル」を中心にナグプールの都市で行われたのです。
アンベードカル亡き後、その遺志は時を超え、遠く日本からインドに現れたひとりの僧侶に引き継がれます。
人々の光となり、今もインド民衆から多くの尊敬を集めている、佐々井秀嶺氏です。
「ジャイ」は万歳、「ビーム」はこのアンベードカルの名前のことだそうです。
カースト差別は今なお根強く残っていますが、その現実に立ち向かうように
「おはよう」「こんにちは」「さようなら」「ありがとう」といった日常での挨拶として、
今日もインド仏教徒たちの間では「ジャイビーム」が使われているそうです。
興味を持たれたかたは、是非この映画ご覧になってはいかがでしょうか?
映画『ジャイビーム!インドとぼくとお坊さん』
1億人以上ともいわれるインド仏教徒を導く日本人僧侶、佐々井秀嶺(しゅうれい)85歳。
その豪快でお茶目な素顔に迫る密着ドキュメンタリー!
【広島市】#横川シネマ
・11月14日(土) 上映10:10
アフタートーク:プロデューサー田中トシノリ、竹本泰広監督、二階堂和美(歌手・僧侶)
・11月21日(土) (バリアフリー字幕付)上映19:00
アフタートーク:竹本泰広監督、あびこえりか(Social Book Cafe ハチドリ舎)
▼オンラインチケット&DVD予約
https://utashimasya.stores.jp/
▼予告編
https://m.youtube.com/watch?v=GbTu5CTTthU
▼公式サイト
https://www.jaibhim-movie.com