12月に入り、早いもので今年もあと20日あまりとなりました。
今年は新型コロナウイルスの影響もあって1年が過ぎるのが本当に早く感じます。
世間の人々にとってこの時期は、クリスマスやお正月と楽しい行事を目前に、
何となくワクワクと気分が高揚する一方で、新年の準備等、気分までせわしなくなる12月です。
今年は流石に立て続けにある忘年会のお誘いはありませんが、年末の掃除や、
年賀状の用意など忙しい時期であることを改めて感じます。
これから年末に向けて皆さんも忙しい日々を過ごされるのではないかと思います。
12月のことを「師走」と言いますが師走とは、どういう意味なのでしょうか?
師走は、普段、余裕のある先生も忙しく走り回ることから付けられたという説がありますが、
有名なのは、師走の「師」とは僧侶という説です。
昔は年末年始に、僧侶を自宅に招いてお仏壇にお参りする家が多かったため、
お坊さんが忙しく走り回っていたという説です。
そのほか、一年の終わりの月ということで「年が果(は)てる」が変化し
「年果つ(としはつ)」となって、そこから「師走」になったという説、
四季が果てる月という意味の「四極(しはつ)」から変化したという説もありますね。
さて、この師走、今でも本当にお寺は忙しいのでしょうか?
12月に入り、お寺に来られる方に必ず、
「師走でお寺が忙しいのにすみません」
「お忙しい師走にも関わらず・・・」
と言われます。
師走という言葉、前から知ってはいましたが、
私自身は、12月だからと言って走りまわったことはありません。
もちろん、除夜会(じょやえ)や元旦会(がんたんえ)の準備・おすすはらい(大掃除)や、
もちつき、お歳暮の対応等で暇ではありませんが走り回るほどではありません。
年末年始に各家庭をお参りされていた頃は僧侶も特別に忙しかったかもしれませんが、
今となっては、お盆やお彼岸のほうがよっぽど忙しいのではないかと思います。
もちろん、宗派や地域によって違いがあり、年末に特別な法要を行ったり、
正月のお参りの準備に追われたり忙しい年末になってしまうこともあるそうです。
とはいえ、年末の時期に忙しいのは僧侶に限った話ではなく、
どんな仕事をされていても基本的には忙しい時期だと思います。
実感として言えるのは、僧侶が走り回るほどは忙しくないということです。
この1年、本当にあっと言う間に過ぎ去ってしまい師走を迎えました。
私たちは毎日何かに追いまわされています。
忙しいという字は「心を亡くす」と書くとよく言いますが、
大切なものを「忘」れないように、新年を気持ちよく迎えるために、
残されたひと月を丁寧に、有意義に過ごせるようにしたいものです。
今年は新型コロナウイルスに振り回され、本当に暗いニュースばかりでした。
余りにも早く過ぎ去っていったこの1年、私自身何も出来なかった気もします。
しかし12月の別名は「春待月」とも言うそうです。
今年できなかったことを後悔するのではなく、
来るべき新年に向かって、期待を持ちたいと思います。
寒い冬でも必ず春となるものです。
寒い冬をじっと耐えて春を待つように、
どんな苦境にあっても、
いつか必ず春が来ることを信じて
前向きに生きていきたいものです。