最近、改葬やお墓の引越、墓じまいを検討されている方が増加する一方で、
「離檀料」を払わなければならないのか、高額な離檀料を請求されるのではないか、
と心配される方も増えてきました。昨日も、「寺院が管理する墓苑からお墓を改葬
したいけど、何かとトラブルの多い墓苑のため、トラブルになるのでは」と心配
されておられる方の相談を受けました。今回は、墓じまいの際に、よく聞く
「離壇料」について詳しくお伝えします。参考にしていただけたら幸いです。
昔から、お寺の境内や、管理する墓苑にお墓がある場合、檀家をやめたり、
墓じまいする際に、長年のお礼としてお布施を包む慣習があったようです。
もともと「離檀料」という言葉はありませんでしたが、最近になって新しく
使われるようになり、耳にもするようになりました。
本来「離檀料」とは、寺院側から請求されるものではなく、お気持ちを
お礼としてお渡しする「お布施」だったのです。
結論から言いいますと、「離壇料」を支払う法的な根拠・宗教的な根拠は
全くありません。寺院と檀家関係を結ぶ際に契約書を交わし、その中に離檀
について記載された条項でもあれば話は別ですが、ほとんどの場合、檀家に
なる時に契約書を交わすことはありませんし、そのような契約書など存在しません。
また離壇料は、どこの寺院からも必ず請求されるわけではありません。
当然、品龍寺でも「離壇料」を請求することは絶対にありません。
多くの寺院でも「離壇料」を請求することはないはずです。
本来、お布施であるはずの「お礼のお気持ち」を寺院側から請求するのは、本末転倒です。
墓じまいをして、お墓の引越しをする場合は、自治体に「改葬許可証」
を提出しなければ、引越し先にご遺骨を納骨することができません。
「改葬許可証」を発行してもらうには、自治体備え付けの「改葬許可申請書」に、
現在ご遺骨を納骨しているお墓の管理者の署名捺印が必要です。
「離檀料」を払わないと、その書類に署名捺印をしないと脅されるケースもあるそうです。
ご遺骨が人質のようになっているので、強気に出ることもできず、
高額な離壇料を払ってしまうケースもあるそうです。
支払い義務がないからといって、払う必要はないと突き放してしまうのでは、
これまでお世話になった菩提寺に対する礼に欠ける気もいたします。
長年お世話になったお礼として、「お気持ち」として渡すことも良いかと思います。
相場としては、それぞれの世帯の年収や、お寺との付き合いの深さにも
よりますが、3万円~20万円程度を包むのが妥当のようです。
もし、万が一高額な「離壇料」を請求されてしまったらどうすればよいのでしょうか?
最終的には訴訟、裁判による方法も考えられますが、時間も費用もかかります。
まずは円満な解決を目指すことが大切です。寺院側にこれまでの感謝の気持ちを伝え、
高額な離檀料の支払いは難しいと説明しましょう。
なるべく冷静に、よく話し合って和解の努力をすれば、住職も理解してくれる
かもしれません。
本来、信教の自由が認められている現代では、離檀料を
支払わないからといって、改葬をやめさせる権利はお寺にはありません。
「墓地、埋葬等に関する法律」の第五条に定められている通り、改葬を許可する
のは市町村長で、住職ではありません。
そもそも離檀を阻むような行為は、憲法20条に「信教の自由は、何人に対しても
これを保障する。」という信教の自由を侵害することになります。
もしも寺院側との交渉が無理なようでしたら、石材店、役所の担当者などに
相談するのがいいと思います。そのお寺の本山に相談してみるのも良いかも
しれません。各宗派の本山でも離檀料を取ることは認めていません。
それでも交渉が決裂してしまう場合、最終的には、行政書士や司法書士、
弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。寺院側も「離檀料」と
いう法的根拠のない費用を請求して、万が一裁判になった場合、負けるのは
明白なため、そこで引かれるケースもあるようです。
今回は「離壇料」をめぐるトラブルについて、お伝えさせていただきました。
同じ僧侶という立場として、恥ずかしく、情けない気持ちになりますが、
こういうケースが稀にあるのも事実です。トラブルに巻き込まれないため
にも事前の情報収集は必要です。
このブログを読んでくれた方が安心し、
少しでも参考にしていただければ嬉しいです。
お墓に関するトラブルでお悩みの方はいつでも品龍寺にご相談ください。
お困りのあなたの力になります。また、信頼できる行政書士や司法書士、
弁護士などの専門家を紹介させていただくこともできますので、
まずは、お気軽にご相談ください。