早いもので今日から6月ですね。
梅雨の真っ只中というのに、今日は梅雨の谷間で、空は青く、さわやかな1日です。
緊急事態宣言は今月20日まで延長されましたが、新規感染者数も日に日に落ち着いてきています。
しかし、一方でワクチン接種が遅いことや、感染力の高いインド株が確認されるなどまだまだ予断を許さない状況です。
コロナ禍でのお寺の仕事
そんなコロナ禍の中、お寺にお参りに来た門徒さんから
「今お寺は暇でしょう?」
「お寺さんもコロナですることが無いですね」
と尋ねられることもしばしばです。
確かにコロナで法事が延期になったり、お参りの方も減ってはいますが、
お寺での仕事は読経や掃除以外にもたくさんあります。
特にうちのお寺の住職は「そこまでするの?」というくらい多岐にわたり、
毎日老体に鞭打って汗を流しています。
境内の樹木の手入れや水やりだけではなく、植木の剪定や墓地の草抜き、
水道工事や電気工事、配管や大工仕事など、なんでも一人でこなします。
職人顔負けの道具や工具も揃っています。
コロナ禍で時間がある今は、造園工事に取り組み、
お墓参りに来られた方が心穏やかになるようにと張り切っています。
住職は主に葬儀や法事に出仕することが多いですが、
それらの予定が無く天気の良い日には、たいてい外に出て何かの工事をしています。
初めてお墓参りに来られた人には職人さんと勘違いされ、
「住職です」というと大変驚かれています。
住職は十職
住職はかつて十職で、十の職業をこなす
地域のプロデューサーのようなものでした。
以前、高橋卓志さんという臨済宗のお坊さんがテレビに出ていた時に、
『住職とは十の職とも書ける!昔は十の専門家でもあった!
総合的なコーディネーターとして地域住民から頼りにされていた』
と語られていました。
お寺は昔、学校でもあり、遊び場でもあり、病院でもあり、
娯楽施設でもあり、役所でもありました。
コミュニティの中心にあって、落語や歌舞伎などの芸能の
興行も催され、とにかく人の集いの場だったのです。
この「十職」という言葉の意味は、何にでも対応できる柔軟さと行動力を持つ事に直結することなのだとおもいます。
この考え方はまさにうちのお寺にぴったりな考え方です!
住職だけで十の職をこなすことは出来ませんが、うちのお寺には住職の妻である坊守(ぼうもり)と住職の息子である副住職もおります。
住職の妻 「坊守」の仕事
実は、一番大変なのが坊守かもしれません。
うちのお寺の顔は坊守であることは紛れもない事実です。
お墓の維持管理や経理、スケジュール管理など事務的な業務もお寺の大切な仕事のひとつです。
境内の清掃や、本堂の清掃、仏花やお飾りも坊守の仕事です。
門徒さんが来られた場合はお話を聞いたりしますし、常に電話応対があります。
そのほか、住職や副住職の世話もありますのでそれが一番大変かもしれません。
副住職の仕事は?
住職の息子である副住職はというと、基本的に外でのお参りが中心です。
月忌参りや霊園でのお参り、入仏法要や墓じまいの法要などお寺では無い場所でする仏事に行きます。
また、門徒さんの付き添いでお墓参りをしたり、一緒に墓じまいのお手伝いをすることもあります。
その他お寺以外にも、小学校のPTAの役員をして清掃や見守りのボランティア活動や、
お寺に地域の方が集まるヨガ教室の運営など、地域貢献活動も行っています。
また広島雅楽会という雅楽の会の役員や、高校生への雅楽の指導なども行っております。
またお寺の行政区分である広島西部の安芸教区、市内西部のお寺の集まりである広陵西組などの仕事も行っています。
お寺の住職は十職とも言えると紹介しましたが、本来は「住む職」と書きます。
漢字の通り、お寺にいることが大事です。門徒さんが来たらいつでも話を聞きますし、
夕方に電話がかかってくることも多いです。
また、夜遅くや早朝にお通夜などの相談の電話がかかってくることもあります。
法事がない場合でも、誰か必ずがお寺に常駐することになります。
十の職のスペシャリストには程遠い私たちですが、
少しずつお寺を支えてくださる門徒さんや地域社会への恩返し、
寺院活性化に微力ながら精進しています。
コロナ禍の現在、
自らの立場で、
やるべきことは何なのか、
自問自答しながら
どんなことにでも対応できる
柔軟さと行動力を持てるよう、
人のため社会のために尽くしたいと思います。